息をつめてずっと願えば、きっと小さな奇跡がやってくる。珠玉小説。
見覚えのない弟にとりつかれてしまう女性作家、夫への不信がぬぐえない妻と幼子、失踪者についつい引き込まれていく私…心に小さな空洞を抱える私たちの愛と再生の物語。
不幸であればあるほど、輝かしい偶然が待っている。 犬と私と弟が紡ぎ出すいとおしい物語。
お手伝いのキリコさんは私のなくしものを取り戻す名人だった。それも息を荒らげず、恩着せがましくもなくすっと―。
伯母は、実に従順で正統的な失踪者になった。前ぶれもなく理由もなくきっぱりと―。
リコーダー、万年筆、弟、伯母、そして恋人―失ったものへの愛と祈りが、哀しみを貫き、偶然の幸せを連れてきた。息子と犬のアポロと暮らす私の孤独な日々に。美しく、切なく運命のからくりが響き合う傑作連作小説。